コラム
COLUMN
再進学(学び直し)
大学中退者がこぞって資格取得をする理由とは?大学中退者におすすめの資格や取得方法について解説
大学中退後、就職活動がなかなかうまくいかず困っている方もいるでしょう。
そのような場合でも、資格を取得すれば採用担当者へのアピール材料になります。
希望する職種が決まっている場合は、就職活動と並行しながら、仕事に関連した資格を取得するのがおすすめです。
本記事では、大学を中退した方が資格取得をめざす理由や、採用担当者にアピールできる6つの資格、資格取得するメリットや注意点、効果的な勉強方法について解説します。
目次
大学中退者が資格取得する理由とは?
大学を中退した方が資格取得をめざす理由は、就職活動において優位性を得られるからです。
大学を中退すると、最終学歴は大学中退ではなく、高卒(高校卒業)として扱われます。何もしないまま就職活動を行うと、大卒や高専卒(専門学校卒)の方と比べて、学歴の面で不利です。
しかし資格を取得すれば、スキルのアピール材料として活用できるため、学歴における不利をある程度克服することが期待できます。
また、資格を取得するために努力したことを評価する採用担当者もいるでしょう。
就職活動時に、大学中退後の時間をどのように有効活用したか説明できる点も資格取得のメリットといえます。
他にも、求人の中には特定の資格取得者でなければ応募できないものもあります。取得した資格を活かし、就職活動の選択肢を広げられるのも魅力の一つです。
ただし、資格であれば何でもよいわけではありません。資格の中には、就職活動においてほとんど役に立たないものもあります。採用担当者にアピールすることを前提にするならば、応募する職種と関わりが深い資格や、難易度の高い国家資格などの取得をめざしましょう。
大学中退者が資格を取得するメリットについては後ほど詳しく解説します。
大学中退者が資格取得する人の割合
大学中退後、どのくらいの割合の方が資格取得に取り組んでいるのでしょうか。
以下の表は、労働政策研究・研修機構がハローワークに来所した大学中退者の就職活動の状況についてまとめたものです。
|
就職活動のみをしている |
就職活動中だが、非正規雇用で働いている |
就職活動中だが、正規雇用で働いている |
就職活動中だが、進学や資格取得のために勉強している |
その他 |
無回答 |
男性 |
53.3% |
25.5% |
3.3% |
12.6% |
3.6% |
1.7% |
女性 |
39.1% |
30.0% |
5.2% |
19.3% |
6.0% |
0.4% |
調査結果によると、一番多いのは就職活動のみをしている方で、男性はおおよそ2人に1人、女性は約40%の割合の方が就職活動に専念しています。
一方、進学や資格取得のために勉強している方の割合は、男性は12.6%にとどまるのに対し、女性はおおよそ5人に1人の割合です。ただし男性は、年齢が高くなるにつれて比率が増加し、30代後半の方の19.6%が就職活動をしながら資格取得などに取り組んでいます。
大学中退者が取得すべき資格
大学中退者におすすめの資格は6つあります。
- 基本情報技術者:ITエンジニアをめざす方向け
- 宅地建物取引士(宅建):不動産業界で働きたい方向け
- 中小企業診断士:経営コンサルティングの仕事がしたい方向け
- 旅行業務取扱管理者:旅行業界で働きたい方向け
- 通関士:輸出入に関する仕事に関わりたい方
- 登録販売者:薬局やドラッグストアに就職したい方
上記の資格は応募条件がなく、高卒の方や大学を中退した方でも取得できます。いずれも国が定める国家資格のため、取得できれば採用担当者へのアピール材料になります。
基本情報技術者
基本情報技術者は、プログラマーやシステムエンジニア、企業の情報システム部門など、ITエンジニアをめざす方におすすめの国家資格です。
基本情報技術者の資格を取得するには、情報処理推進機構(IPA)が実施する基本情報技術者試験に合格する必要があります。
基本情報技術者試験はITエンジニアの登竜門とも呼ばれ、合格するにはITシステムの企画や要件定義、設計・開発・運用などに関する基本的な知識や技能が求められます。
宅地建物取引士(宅建)
宅地建物取引士(宅建)は、不動産業界で働いてみたい方におすすめの国家資格です。
不動産に関する業務の一部は、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律に基づいて、宅地建物取引士の資格を取得した人が行う必要があります。
例えば、不動産の売買や賃貸の契約を結ぶときの重要事項説明(重説)が一例です。
そのため宅地建物取引士は、不動産会社において重宝される資格の一つです。
大学を中退した方でも、宅地建物取引士を持っていると就職活動において有利になる可能性があります。
中小企業診断士
中小企業診断士は、近年人気が高まっている資格の一つで、経営コンサルタンティング業務に関連する唯一の国家資格です。
中小企業診断士とは、「中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家」を指します。
資金調達やM&Aなど、中小企業の成長戦略を支える経営コンサルタントとして活躍したい方におすすめの資格です。
旅行業務取扱管理者
旅行業務取扱管理者は、旅行業界で働いてみたい方におすすめの国家資格です。
旅行会社や旅行代理店は、旅行業法という法律に基づいて、営業所ごとに1名以上の旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。
旅行業務取扱管理者は、お客様への取引条件の説明など、旅行業務の管理監督を担当する重要な役職です。
旅行業務取扱管理者は、旅行業界における唯一の国家資格でもあるため、取得すると採用担当者へのアピールにつながります。
通関士
通関士は、貨物の輸出入に関する手続きの専門家として、通関書類の審査や税関への申告などを代行するための国家資格です。
通関士の資格を取得すると、通関業者に所属して働くことが一般的です。
通関業者とは、企業の通関手続きを代行する事業者のことで、営業所ごとに1名以上の通関士を選任する必要があります。
通関士は、将来貿易に関わる仕事をしてみたい方におすすめの資格です。
登録販売者
登録販売者は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)という法律に基づいて、医薬品の販売に従事するための国家資格です。
薬剤師と違って、登録販売者は一般用の医薬品に関する専門家として活躍します。
主な就職先は、薬局やドラッグストアの他、医薬品を取り扱うスーパーやコンビニ、家電量販店などがあります。
大学中退者が資格取得するメリット
大学を中退した方が、就職活動をしながら資格を取得するメリットは3つあります。
- 仕事に関する知識やスキルをアピールできる
- 継続して努力する力があることを証明できる
- 中退後の空白期間を有効活用できる
仕事に関する知識やスキルをアピールできる
1つ目のメリットは、仕事に関する知識やスキルを採用担当者にアピールできるという点です。
未経験者の場合、資格を取得したからといって即戦力として評価されるわけではありませんが、書類選考や面接の際のアピール材料として役に立ちます。
また業務に必要な資格の場合、採用後に取得するよう命じられるものもあります。そうした資格をあらかじめ取得しておけば、採用担当者に入社への熱意をアピールすることが可能です。
継続して努力する力があることを証明できる
2つ目のメリットは、継続して努力する力があることを証明できるという点です。
採用担当者の中には、大学中退者に対し「採用してもすぐに退職しそう」「仕事においても途中で諦めてしまいそう」というマイナスイメージを持っている人もいます。
国家資格など、数百時間から数千時間の勉強を要する難関資格を取得することで、こうしたマイナスイメージを払拭し、根気や継続力のある人材であることをアピールできます。
中退後の空白期間を有効活用できる
3つ目のメリットは、中退後の空白期間を有効活用できるという点です。
大学中退後、就職活動がなかなかうまくいかず、履歴書に空白期間ができてしまった方もいるでしょう。その期間に資格勉強を始めれば、「空白期間は資格取得に当てた」という理由付けが可能です。
資格勉強の他にも、アルバイトや留学、インターンといった選択肢があるため、今後のキャリアプランに合わせて計画的に空白期間を利用しましょう。
大学中退者が資格取得するときの選び方
取得する資格を選ぶときは、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
- 国家資格・公的資格のいずれかに該当するか
- 希望する職種に関連する資格か
- 資格取得の難易度が現実的か
国家資格・公的資格のいずれかに該当するか
資格は大きく分けて、国家資格・公的資格・民間資格の3種類があります。
- 国家資格:法令に基づいて、国や国が委託した機関が認定する資格
- 公的資格:法令には基づいていないものの、地方自治体や公益法人などの公的な団体が認定する資格
- 民間資格:民間の企業や団体が基準を設け、独自に認定する資格
就職活動において有利になるとされているのは、国が定める国家資格や、公的な団体が認定する公的資格です。ただし民間資格でも、業界内の知名度が高いものであれば、採用担当者へのアピールにつながる場合があります。
希望する職種に関連する資格か
また取得する資格が、希望する職種に関連しているかも重要なポイントです。
例えば、旅行業界で働く場合は旅行業務取扱管理者、不動産業界で働く場合は宅地建物取引士(宅建)など、業種・業界と深い関わりのある資格を取得しておくと、書類選考や面接の際にアピールできます。
資格取得の難易度が現実的か
資格の中には難易度が高く、合格するために膨大な勉強時間を要求されるものもあります。難関資格を取得すると、採用担当者への大きなアピールにつながりますが、就職活動をしながら勉強時間を確保するのは大変です。
就職活動を進めていく中で、現実的な勉強時間で取得できそうな資格を選ぶことも大切です。
大学中退者が資格取得するときの注意点
大学中退後に資格勉強を始める場合、注意したい点が2つあります。
- やりたいことを明確化してから資格を選ぶ
- 資格の中には就職活動に役立たないものもある
まずは資格勉強を始める前に、自分がやりたい仕事は何かをしっかりと明確化しましょう。興味関心のない分野の資格を目標に設定しても、資格勉強のモチベーションが上がらず、途中で挫折しやすくなります。
自己分析を通じて、自分の価値観や長所・短所を客観的に見つめ直し、本当にやりたい仕事に関わる資格取得をめざしましょう。
また資格の中には、就職活動においてほとんど役に立たないものもあります。例えば、以下のように試験の難易度が低く、少ない勉強時間でも合格できる資格です。
- 1級未満の英検・漢検・数検
- MOS(Microsoft Office Specialist)
- ITパスポートなど
例えばIT業界で働きたい場合は、ITパスポートではなく、より難度が高い基本情報技術者をめざすとよいでしょう。
資格を取得するための勉強方法
中退後に資格を取得する方法は、独学で勉強する方法と、専門学校やスクールを利用する方法の2つがあります。
それぞれのメリット・デメリットがあるため、自分に合った勉強方法を選びましょう。
|
メリット |
デメリット |
独学で勉強する |
費用がかからない 自分のペースで勉強できる |
資格勉強のモチベーションを維持するのが難しい 周囲に相談できる人がいない |
専門学校やスクールを利用する |
専門学校やスクールのオリジナルテキストで効率的に学べる 面接練習など、一人ではできない試験対策もできる 資格取得後の就職サポートも充実している 卒業すると、最終学歴が高卒から専門士(専門学校卒)になる |
費用がかかる |
大学を中退した方は希望職種に関連した資格を取得しよう
大学を中退した方は、就職活動と並行して資格勉強を始めることをおすすめします。希望職種に関連する資格を取得すれば、仕事に必要な知識やスキル、入社への熱意をアピールすることが可能です。
大学中退者におすすめの資格には、基本情報技術者や宅地建物取引士(宅建)、中小企業診断士、旅行業務取扱管理者など、さまざまな種類があります。やりたい仕事を明確化した上で、自分に合った資格を取得しましょう。
仙台大原簿記情報公務員専門学校は、中退後の資格取得から民間企業への就職まで、ワンストップでサポートを提供している専門学校です。公務員系、事務職系、ビジネス系、法律系、税理士・会計士系、情報系の6つのコースから、めざす進路に合ったコースを選択できます。
▲大学中退された方にも選ばれている仙台大原についてはオープンキャンパスで知ろう。