コラム
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税理士 公認会計士 再進学(学び直し)
大学中退後から税理士になれる?めざすためのステップについて解説
大学中退後、めざせるものが見つからず、焦っている方もいるでしょう。そうした方におすすめできる選択肢が、国家資格の一つである税理士です。税理士試験の受験資格は、高卒の方や大学を中退した方でも得られます。
税理士をめざすには、独学で試験対策を行う、税理士事務所で働きながら資格の取得をめざす、専門学校やスクールを利用して試験取得に専念する、といった方法があります。税理士試験は試験科目のうち、合格科目が5科目達成で税理士試験合格となりますが、年1回実施のため、長期的な視野で1科目ずつ確実な合格をめざすとよいでしょう。
本記事では、大学を中退して税理士になった人の割合や、税理士になれる人の特徴、大学中退後に税理士をめざすための勉強方法について解説します。
目次
高卒や大学中退者で税理士になった人の割合
税理士になるためには、国家試験である税理士試験への合格が必要です。税理士試験が免除されるケースもありますが、弁護士や公認会計士などの資格を保有している方に限られます。
税理士試験というと、難関大学を卒業した方が受験するというイメージがあるかもしれません。しかし令和5年度の税理士試験結果を学歴別に見ると、合格者の中に高卒の方や大学を中退した方が一定数いることが分かります。
学歴 |
受験者数 |
合格者数合計 |
合格率 |
大学卒 |
2万3,765人 |
5,024人 |
21.1% |
大学在学中 |
2,188人 |
667人 |
30.5% |
短大・旧専卒 |
700人 |
95人 |
13.6% |
専門学校卒 |
2,786人 |
456人 |
16.4% |
高校・旧中卒 |
2,778人 |
662人 |
23.8% |
その他 |
676人 |
221人 |
32.7% |
最終学歴が高校・旧中卒の方は、合格者数(一部科目合格者を含む)では大学在学中の方とほぼ横並びで、合格率は大学卒の方を上回る23.8%です。
上記の表には、大学中退者以外の試験結果も含まれているものの、おおよそ4人に1人の方が税理士試験に合格していることが分かります。
大学を中退しても税理士になれる人の特徴
大卒を中退した方の中には、一念発起して試験勉強に取り組み、税理士になるという夢を実現した方もいます。そうした方に共通して見られるのが、以下の2つの特徴です。
- コツコツ勉強を続けられる人
- 簿記に興味関心がある人
コツコツ勉強を続けられる人
1つ目の特徴は、コツコツ勉強を続けられる人です。
税理士になるには、会計学の2科目(簿記論・財務諸表論)と、税法のいずれか3科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法などから選択)の合計5科目に合格する必要があります。
税理士試験の5科目合格を果たすには、数千時間とも言われる勉強時間が必要です。そのため自分のペースでコツコツ勉強し、地道に努力を続けられる方でなければ、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。
簿記に興味関心がある人
2つ目の特徴は、簿記に興味関心を持っている人です。
簿記とは、お金の流れを帳簿に正しく記録する技能のことで、企業の会計や経理業務に欠かせないものです。簿記は税理士試験との関わりも深く、簿記の勉強をすると会計科目の試験対策にもなります。大学中退後、税理士試験に合格した方の中には、簿記に興味関心を持ったことがきっかけで税理士をめざしたという方もいます。
また後述するとおり、大学を中退した方が税理士試験の受験資格(税法科目)を得る方法の一つが、簿記資格の取得です。そのため税理士をめざす場合は、簿記の知識があるか、知識がなくても簿記に対して興味関心を持てるか、という点が重要になってきます。
大学中退後に税理士試験の受験資格を得る方法や必要なステップ
税理士試験の受験資格は、実は大学を中退した方でも得ることが可能です。
特に税理士試験の受験科目のうち、会計学に属する科目は、令和5年度(第73回)の税理士試験から受験資格の制限がなくなりました。学歴にかかわらず、会計学2科目は誰でも受験できます。
また残りの税法に属する科目も、以下のいずれか一つの条件を満たすことで、大学を中退した方でも受験資格を得られます。
資格 |
日商簿記検定1級合格者 |
|
---|---|---|
全経簿記能力検定上級合格者 |
||
職歴 |
右のいずれかの業務に2年以上従事した者 |
法人または個人事業主の会計に関する事務 |
税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務 |
||
銀行・信託会社・保険会社における貸付などに関する事務 |
つまり大学中退後に税理士をめざす場合、受験資格を満たす方法は大きく3つに分けられます。
- 日商簿記検定1級に合格する
- 全経簿記能力検定上級に合格する
- 税理士事務所などで2年以上の実務経験を積む
どの方法を選ぶかによって、その後の道のりが変わってくるため、なるべく早めに方針を決めましょう。
日商簿記検定1級に合格する
受験資格を得る1つ目の方法は、日商簿記検定1級に合格することです。
日商簿記検定(日本商工会議所主催簿記検定試験)は、日本商工会議所が実施している検定試験で、合格するには「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」をクリアする必要があります。
日商簿記検定1級の合格率は16.8%(第165回)と、税理士試験の合格率に匹敵するほど難度の高い検定試験です(※)。しかし税理士試験の出題範囲とかぶる部分も大きく、勉強した内容は税理士試験対策に活かせます。
全経簿記能力検定上級に合格する
2つ目の方法は、全経簿記能力検定上級に合格することです。
全経簿記能力検定(公益社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験)は、全国経理教育協会が実施している検定試験で、上級の試験区分は年1回のみ開催されます。
全経簿記能力検定上級の合格率は13.1%(第213回)と、日商簿記検定1級に並んで難度の高い試験です(※)。日商簿記検定1級と同様に、全経簿記能力検定上級に合格すると学歴にかかわらず、税理士試験の受験資格を得られます。
税理士事務所などで2年以上の実務経験を積む
3つ目の方法は、税理士事務所などで2年以上の実務経験を積むことです。
日商簿記検定1級などの資格がなくても、税理士事務所や会計事務所における補助業務、銀行や信託会社、保険会社の貸付などに関する業務、法人または個人事業主の会計に関する業務に従事することで、税理士試験の受験資格を得られます。
特に税理士事務所で働く場合、税理士としての実務経験を積みつつ、並行して試験勉強を進めることが可能です。
大学中退後に税理士をめざすための勉強方法
大学中退後に税理士をめざす場合、主な勉強方法は3つあります。
- 独学で試験対策に集中する
- 税理士事務所などで働きながら勉強する
- 専門学校やスクールを利用する
それぞれメリットやデメリットがあるため、自分に合った勉強方法を選ぶことが大切です。
独学で試験対策に集中する
1つ目は、独学で試験対策に集中する方法です。
独学で勉強する方法には、自分のペースで勉強を進められる、勉強時間を確保しやすい、といったメリットがあります。
しかし税理士試験は難度が高く、試験範囲も広いため、独学で5科目合格をめざすのは困難です。特に税法に属する科目は、法改正に対応して知識をアップデートする必要があるため、専門学校やスクールを利用して試験対策することをおすすめします。
法改正の影響が少ない会計学に属する科目であれば、独学であっても合格できる可能性は十分にあります。
税理士事務所などで働きながら勉強する
2つ目は、税理士事務所などで働きながら勉強する方法です。
税理士試験の受験資格(2年以上の実務経験)の取得と、試験勉強を同時並行で進められるため、無駄なく合格をめざせるのがメリットです。
税理士事務所の中には、試験前の休暇制度や勤務時間を調整できるフレックスタイム制など、税理士試験に理解のある事務所も存在します。働きながら勉強する場合は、事務所選びが大切になってきます。
専門学校やスクールを利用する
3つ目は、専門学校やスクールを利用する方法です。
専門学校やスクールなら、現在のレベルに合わせてコースを選び、自分に合ったペースで試験対策を進められます。科目別授業も行われるため、苦手科目を集中して対策することが可能です。
税理士試験対策なら、税理士合格サポート制度のある仙台大原簿記情報公務員専門学校にぜひご相談ください。在学中に3科目以上合格すると、卒業後も次の税理士試験まで授業料免除で試験勉強を続けられます。
大学中退後に税理士をめざす際の注意点
大学を中退した方が税理士をめざす場合、以下の2点に注意しましょう。
- 勉強時間を確保する必要がある
- 合格まで時間が掛かる
税理士試験は、大学を中退した方でも合格できる可能性のある国家試験です。しかし大卒の方や大学在学中の方などと比べると、どうしても不利な部分があることを知っておく必要があります。
勉強時間を確保する必要がある
大学を中退した方の場合、他の方よりも多くの勉強時間を確保しなければなりません。
税理士試験の受験資格には、学識(学歴)に関するものもあります。大学や短大、高等専門学校(高専)を卒業した方の場合、社会科学に属する科目を1科目以上履修していれば、自動的に受験資格を得られます。
一方、大学を中退した方の場合、受験資格を得るには日商簿記検定1級などの合格か、税理士事務所などでの実務経験が必要です。受験資格を得るための条件がより厳しいため、しっかりと勉強時間を確保する必要があります。
合格まで時間が掛かる
税理士試験は年1回しか行われないため、長期戦になることを覚悟しましょう。大学中退後、税理士になった方の中には、5科目合格を達成するまで10年以上掛かった方もいます。
試験が年1回しかないからといって、一度に5科目合格をめざす必要はありません。税理士試験は、1科目ずつ受験することが認められています。いずれか一つの科目に集中して試験対策を進め、確実に合格を狙うことをおすすめします。
税理士になった後のキャリアプランも考えておこう
税理士試験への合格をめざす方は、税理士になった後のキャリアプランを考えておくことも大切です。税理士になった自分についてイメージしてみることで、試験勉強のモチベーション維持にもつながります。
ここでは税理士の平均年収や、税理士になった後の選択肢について解説します。
税理士の平均年収は?
税理士になると、どのくらいの収入を得られるのでしょうか。以下の表は、厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査に基づいて、税理士(公認会計士も含む)の平均年収を年齢別にまとめたものです(※)。
年齢 |
平均年収 |
---|---|
20~24歳 |
449.62万円 |
25~29歳 |
589.61万円 |
30~34歳 |
682.80万円 |
35~39歳 |
828.89万円 |
40~44歳 |
877.67万円 |
45~49歳 |
837.72万円 |
50~54歳 |
930.42万円 |
55~59歳 |
622.29万円 |
60~64歳 |
870.27万円 |
65~69歳 |
722.83万円 |
70歳~ |
686.08万円 |
※平均年収は、毎月の「きまって支給する現金給与額」を12倍し、「年間賞与その他特別給与額」を加算したもの
税理士の平均年収は、40代から50代にかけてピークを迎え、一般労働者の平均年収を大きく上回る収入を得られます。大学を中退した方でも、税理士試験に合格できれば、高収入が期待できる職業に就くことが可能です。
税理士には独立開業の選択肢もある
税理士には、税理士事務所に就職するという働き方だけでなく、独立開業する選択肢もあります。独立開業するメリットは以下のとおりです。
- 顧客が増えると、税理士の平均年収を大きく上回る収入を得られる可能性がある
- 自分の得意とする分野や興味関心のある分野の仕事に専念できる
- 独立開業に失敗しても、資格を活かして税理士事務所に再就職できるため、開業リスクを抑えられる
大学中退後、やりたいことが見つからず悩んでいる場合は、将来の選択肢の一つとして税理士をめざすという道もあります。
大学を中退しても税理士をめざすという道がある
大学を中退しても、自分の人生を挽回するチャンスはまだあります。税理士試験に合格すれば、高卒の方や大学を中退した方でも社会的ステータスの高い職業に就くことが可能です。
ただし税理士試験の合格は独学では厳しいため、専門学校やスクールを利用することをおすすめします。
税理士や公認会計士をめざす方は、仙台大原簿記情報公務員専門学校にぜひご相談ください。簿記未経験者から税理士をめざすコースも設けているため、初心者の方も自分のペースで税理士試験合格をめざせます。
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