コラム

宅建士(宅地建物取引士)になるには?資格取得と登録手続き、仕事内容についてご紹介


公開日:2023/11/3000更新日:2024/1/18

「宅建士」とは「宅地建物取引士」の略で、近年就職や転職に役立つ資格として注目を集めています。人気の理由は、宅建士には不動産に関する独占業務があるため、資格を取得することでさまざまな業界で新たな活躍の場が広がるからとされています。

 

ですが、資格としての知名度が低いために、どのような仕事をするのか、またどうすれば資格取得ができるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?

 

そこでこの記事では、宅建士(宅地建物取引士)の具体的な仕事内容や、資格取得までの流れ、そして将来性について解説していきます。こちらを読めば、宅建士の全体像がわかり、取得までの道筋がイメージできるようになるので、ぜひ参考にしてください。

   

 宅建士(宅地建物取引士)とは?


宅建士とは、宅地建物取引士の略称で、不動産取引における専門知識を有することを証明する国家資格です。

 

宅建士の資格があれば、不動産の売買や賃貸物件の斡旋を行う際に、顧客が不当な契約を結んでしまわないよう知っておくべき事項(重要事項)を説明することができます。

 

また、不動産を扱う企業などは、宅地建物取引業法により各事務所に従業員5人につき1人以上の宅建士を設置しなければならないと定められています。このことから、宅建士は不動産会社や企業にとっては欠かせない人材となっています。 

そのため、不動産業界においては資格手当を貰える企業が多く、企業により異なりますが相場としては10,000円~30,000円の支給があります。

 

 宅建士(宅地建物取引士)の仕事内容

宅建士の主な仕事は、不動産取引における売買契約の進行です。

 

宅建士には、次の3つの独占業務があり、不動産会社(宅地建物取引業者)が不動産(宅地建物)の取引を行う際には必ず行わなければならない義務とされています。

 

・契約締結前に行う重要事項の説明

・重要事項説明書面(35条書面)への記名

・契約内容を記した書面(37条書面)への記名

 

簡単に説明すると、不動産を取得しようとする人(買主)や借りようとする人(借主)などに物件や取引条件に関するさまざまな情報の説明を行います。これが「重要事項の説明」です。

 

そして、「説明内容を記載した書面(重要事項説明書/35条書面)」を作成し、交付します。この書面には、「記載の内容に責任を持つ」という意味で、宅建士が名前を書きます。この記名をもって、重要事項を説明したという事実の証明になり、この重要書類に記名ができるのも宅建士のみに許された仕事です。

 

最後に、晴れて取引が成立したら不動産取引をしたことの証明として「契約内容を記した書面(37条書面)」を作成し、これにも宅建士が記名を行います。

 

このように、一般の人には理解するのが難しい不動産取引に精通し、不動産の正当な取引を支援するのが、宅建士(宅地建物取引士)の仕事といえるでしょう。

 

他には、不動産を売り出す際のサポートや運用のためのコンサルティングを担当することもあります。また、不動産を購入したい人や借りたい人のために不動産を探して紹介することなどもします。

 

 宅建士(宅地建物取引士)になるには?


宅建士(宅地建物取引士)として仕事をするには、下記の手順を経て、宅建士の資格を取得する必要があります。

 

①宅地建物取引士資格試験に合格する

②実務経験を2年以上積むか登録実務講習を受講する

③登録手続きをする

 

宅地建物取引士資格試験に合格する

宅建士として仕事をするためには、まず宅地建物取引士資格試験に合格しなければいけません。

 

宅地建物取引士資格試験は、国家資格としても国内トップクラスの規模で、受験者数は毎年20万人前後になると言われています。ですが、その反面宅建士は日本の法律系国家資格の中でも合格率が低い資格として有名で、例年15〜17%台となっています。

 

これは宅建士の試験が相対評価方式で、明確な合格基準が定められていないことが原因とされています。

 

また、合格率がある程度一定となるように調整されているため、毎年の合格者数も大きく変動することなく、3万人前後となっています。

 

加えて、宅建士は普段生活する上ではあまり馴染みのない不動産関連の専門知識を学ばなければならないため、この点も合格率を下げる要因になっているようです。

ちなみに過去の宅地建物取引士資格試験の合格率は下記の通りでした。

[令和5年度]

合格率:17.2%(合格者40,025名/受験者233,276名)
 

[令和4年度]

合格率:17.0%(合格者38,525名/受験者226,048名)

 

参考:

宅地建物取引士資格試験結果の概要 |一般財団法人 不動産適正取引推進機構

 

実務経験を2年以上積むか登録実務講習を受講する

宅建士の試験に合格したら、宅建士の登録をしなければいけませんが、登録をするためには宅地建物取引業の実務経験が2年以上必要になります。

 

もしくは、国や地方公共団体、これらの出資によって設立された法人で、宅地や建物の取得業務、または処分業務に通算で2年以上従事していた場合でも、宅建士資格登録の条件を満たすことができます。

 

実務経験が2年未満の人は、宅建士の登録実務講習を受講することで、宅建士の登録資格を取得することができます

 

宅建士の登録実務講習では、専用教材による講座を受けたのち、演習会場で行われる2日間のスクーリングに参加します。2日目に修了試験を受け、ここで80%以上正解すれば講習は終了し、登録資格を得ることが可能です。ちなみに、修了試験の合格率は99%と言われているので、しっかり取り組めば問題なく合格することができるでしょう。

 

登録手続きをする

登録のための要件が満たされたら、手続きに必要な下記書類を用意し、登録手数料3万7,000円を添えて各都道府県知事へ提出します。

 

・記名がある登録申請書

・記名がある誓約書

・本籍地の市区町村が発行している身分証明書

・法務局が発行している、登記されていないことの証明書

・申請者本人の住民票

・合格証書のコピー

・縦3cm×横2.4cmのカラーの顔写真

・実務経験証明書や登録実務講習の修了証などの、登録資格があることを証明する書類

 

その後、宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受けることで、正式に宅建士としての資格を取得することができます。

 

 宅建士(宅地建物取引士)に将来性はある?



不動産取引において、宅建士は欠かせない存在ですが、今後も需要や将来性は見込まれるのでしょうか?

 

まだまだ高い需要が見込まれる

宅建士は、今後もまだまだ高い需要が見込まれる可能性が高いでしょう。それには、宅建士の設置義務とAIなどに代替されにくい性質が関係しています。

 

説明したように、不動産取引をする会社は従業員5人につき1人の宅建士を設置することが法律で定められています。つまり、今後日本で不動産の取引が行われる限り、宅建士の募集は続いていくことが見込まれます。したがって、宅建士の将来性はあるといえるのです。

 

そして、宅建士はAIによる代替性も低いとの見方が強いです。仮に、不動産取引業務の一部をAIに任せることがあったとしても、重要事項の説明や契約書の交付などの独占業務は人間である宅建士にしか行うことはできません。

 

加えて、重要書類作成・交付だけでなく、宅建士にとっては借主や貸主とのコミュニケーションも重要な仕事です。お客さんの細かい要望に耳を傾け、スムーズな不動産取引を実施するためには、AIではなく人間の柔軟なコミュニケーション能力が欠かせません。

 

こうした理由からも、宅建士は今後もまだまだ需要が見込まれるため、取得する価値は大いにある資格といえるでしょう。

 

 効果的に宅地建物取引士資格試験対策をしたい人は

宅建士の資格試験の合格率は毎年約15〜17%と低く、不動産関連の専門知識を学ばなければいけないことから、合格には高いハードルがあると予想されます。

 

直近3年の宅地建物取引士資格試験の過去問題と解答が公開されておりますので、是非試験レベルや内容を確認することをおすすめします。

 

宅建試験の問題及び正解番号表(直近3ヶ年) |一般財団法人 不動産適正取引推進機構

 

もちろん、独学で合格をめざすことも可能ですが、専門学校で学ぶ場合は仙台大原簿記情報公務員専門学校の「宅地建物取引士コース」がおすすめです。

 

本コースでは、試験で問われる専門知識や実務技能などを学べるだけでなく、過去問を利用して効果的な試験対策を行うことができます。

 

 まとめ

今回は、宅建士(宅地建物取引士)の仕事内容と宅建士になるまでの道のり、そして将来性について解説しました。

 

宅建士は不動産取引では欠かせない存在で、今後も一定の需要が見込まれる国家資格です。そして、就職や転職の際にも有利になる場面が多いので、興味のある人はぜひ本記事を参考にして資格取得までのプロセスを確認してください。

 

       


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この記事の監修者
仙台大原簿記情報公務員専門学校

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