コラム
COLUMN
公務員 再進学(学び直し)
大学中退者が公務員になるためには?めざせる職種や突破方法について解説
大学を中退すると、卒業した場合に比べて学歴面で不利になるため、公務員になるのは難しいのでは……?と不安になる人もいるでしょう。
結論から言うと、大学を中退しても公務員をめざせますが、メリットとデメリットの両面があるので、あらかじめ注意が必要です。
本記事では、大学を中退しても公務員をめざせる可能性はどのくらいあるのか、大学中退した人が公務員をめざすメリット・デメリット、めざせる公務員の職種、必要な資格の取得や勉強方法について解説します。
目次
大学中退しても公務員をめざすことは可能
冒頭でも触れたとおり、大学を中退したとしても公務員をめざせます。
国家公務員および地方公務員の採用試験は、高校卒業程度、短大・専門学校卒業程度、大学卒業程度の三つの試験区分で実施されますが、これはあくまでも試験のレベルを表しており、実際の学歴を指すものではありません。
そのため、大学を中退していても大卒程度の公務員試験を受験できます。
選考についても、判定の基準とされるのはあくまでその職務に求められる標準的な職務遂行能力や適性を有しているか否かなので、どの高校を卒業したのか、どの大学を中退したのかなど、学歴で差別されることはありません。
以上の点から、大学を中退しても公務員をめざすことは十分可能とされています。
年齢制限に注意
公務員試験の受験資格に学歴は不問ですが、受験区分によって年齢制限が設けられています。
例えば2024年度の国家公 務員採用一般職試験(高卒者試験)では、受験資格について「2024年4月1日において高等学校または中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない者および2025年3月までに高等学校または中等教育学校を卒業する見込みの者」と定めています。
つまり、大学を一年生または二年生の時点で中退した人は受験可能ですが、三年生以降に中退した場合は高卒者試験の受験はできません。
その場合、国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)を受験することになりますが、2024年度の場合は「1994年4月2日~200 3年4月1日生まれの者」などの制限が設けられています。
大学を中退してからしばらく年月が経過している人は大卒程度試験を受けられない可能性があるので注意しましょう。
なお、国家公務員採用一般職試験には社会人試験(係員級)もあり、そちらは2024年度試 験では「1984年4月2日以降に生まれた者」など大卒程度試験よりも年齢制限の幅が広くなっています。
年齢制限のせいで高卒者試験や大卒程度試験を受験できない人は、社会人試験を受験して公務員をめざす方法もあります。
大学中退者が公務員をめざすメリット
大学中退者が公務員をめざすメリットは大きく分けて4つあります。
1. 安定した職場で働ける
公務員が属する国や自治体の機関は、民間企業に比べて財政破綻するリスクが少ない傾向にあります。
また、民間企業では業績悪化などを理由に従業員の賃金をカットしたり、リストラしたりが可能ですが、公務員は法律に定めた懲戒の対象にならなければ、原則として減給・免職されることはありません。
日本経済は長期にわたり低迷しており、特にここ数年は新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受けて、名の知れた企業の倒産や破産も増えてきています。
減給や解雇といったリスクを避けたいのなら、安定性のある公務員をめざした方がよいでしょう。
2. 充実した福利厚生を受けられる
公務員は福利厚生が充実しており、夏期休暇や冬期休暇といった大型休暇はもちろん、その他の年間休日も多めとなっています。
また、有給休暇や育児休暇の取得率も高く、産後も復職しやすい体制が整っています。
さらに、独自の共済組合や住宅手当の支給などの制度を導入しているケースも多く、日常生活から将来設計までサポートしてくれるところが利点です。
3. 社会的な地位を獲得しやすい
前述のとおり、公務員は滅多なことで減給や免職されないため、世間から社会的な地位を確立しているとみなされます。
特にその恩恵を受けやすいのは住宅ローンを利用するときです。
住宅ローンの審査では、その人の職業や年収を基に支払い能力の有無を判断するため、社会的な地位が安定している公務員はローンをパスしやすいといわれています。
4. 地域に根ざした仕事に従事できる
地方公務員の場合、自治体の役所などに所属して地域の行政や活性化などに携わるケースが多く見られます。
地元に愛着があり、故郷に貢献したい、地域の活性化をめざしたいと考えている人は、仕事にやりがいや意義を感じられるでしょう。
大学中退者が公務員をめざす場合に考えられるデメリット
大学中退者が公務員をめざすことには多くのメリットがある一方、いくつか注意しなければならない点もあります。
大学を中退した人が公務員をめざす場合は、メリットとデメリットの両方を理解し、慎重に検討しましょう。
1. 年功序列制度を採用している
公務員の給与は勤務年数に比例して上がっていく年功序列制度を採用しています。
逆にいうと、どれだけ仕事で成果を上げたとしても給与に反映されず、昇給のタイミングや額は同期と一律です。
昇給の機会が確約されている一方、民間に比べると業績に見合う昇給を期待できないため、やりがいを感じられない人もいます。
2. 採用のハードルが高い
公務員試験は、一般的な民間企業の採用試験より難度がかなり高いといわれています。
そのため、大学中退者が公務員試験に合格するためには、かなり本格的に勉強に取り組む必要があります。
何度も試験にチャレンジできれば合格の確率はアップしますが、前述のとおり、試験区分によって年齢制限が設けられているため、あまり時間は掛けられません。
また、公務員試験そのものの倍率の高さもハードルを上げる要因となっています。
3. キャリアアップ・転職が難しい
公務員は、国民や自治体全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務することとされています。
そのため、民間企業で求められるビジネススキル、例えば課題解決力やセールス力、コミュニケーション能力などを養成する機会は少なくなりがちです。
仮に公務員から民間企業をめざした場合、自身の能力をアピールするのが難しく、キャリアアップや転職がしにくいと言われています。
また、大学中退者の場合、転職する際に大学を中退したという学歴がネックになってしまうことも考えられます。
そのため、大学中退者が公務員をめざす場合は、公務員の仕事が本当に自分に向いているのかどうかよく検討することが大切です。
4. 大卒より初任給が少ない
公務員の初任給は、大卒程度か高卒程度かによって差が生じる状況です。
総務省が発表した令和4年地方公務員給与の実態によると、一般行政職の初任給は大卒程度(試験)の平均が18万7,686円であるのに対し、高卒程度(試験)は15万4,142円と、3万円以上の差があります (※)。
また、公務員の昇給は年功序列になっているため、同じ勤務年数なら大卒の方が生涯年収も高くなります。
初任給および生涯年収を増やしたいのなら、大学中退後、大卒程度の試験を受ける必要がありますが、その場合は高卒程度よりも試験の難度が高くなる点に注意が必要です。
大学中退者がめざせる公務員の職種
公務員と一言にまとめてもさまざまな職種があり、それぞれ働く場所や業務内容が異なります。
ここでは大学中退者がめざせる公務員の職種の一例を紹介します。
都道府県庁や市町村役場の職員
都道府県庁や市町村役場の職員は地方公務員の一種で、都道府県庁や市町村役場で働きます。
主な業務は窓口に訪れた人の対応や、書類の処理といった事務作業です。
公立学校の事務職員
公立学校の事務職員は、都道府県立あるいは市町村立の小・中・高校の事務職を担当する職員で、地方公務員に該当します。
各種証明書の発行や書類の管理、経理業務、授業の運営サポートなどの業務を行います。
警察官・消防官
警察官・消防官は地域の警察署や交番、消防署に勤務する地方公務員です。
有事の際に現場へ駆けつけたり、困っている人の対応にあたったりします。
刑務官
刑務官は刑務所や少年院、留置場などに従事する国家公務員です。
被収容者に対して日常生活の指導を行ったり、施設を管理したりする業務を行います。
官公庁の職員
官公庁の職員は内閣府や環境省といった1府12省 からなる中央官庁や国税局、税務署といった地方官庁で働く国家公務員です。
大学中退者の場合は一般職として、政策の立案や調整などを担う総合職のサポートを行ったり、各省庁の事務処理を行ったりします。
裁判所の職員
裁判所の職員は、裁判所で事務職を担う国家公務員です。
裁判所内で発生した書類の処理などを主な業務としています。
入国審査官
入国審査官とは、外国人が入国する際にパスポートやビザが有効なものであるかどうか、入国目的に虚偽がないかなどを審査し、入国を許可する仕事です。
国家公務員の一般職採用試験に合格後、出入国在留管理庁の面接試験にパスすることで採用となります。
最初は法務事務官として働き、必要な法律知識と外国語を習得しながら組織の中でアピールしていけば、入国審査官へのキャリアが開かれる可能性があります。
税務職員
税務職員は国税局や税務署で働く国家公務員です。
適正な申告が行われているか調査したり、未納付の税金の督促や滞納処分を行ったりする業務に携わっています。
公務員をめざすために必要な資格取得や勉強方法
公務員試験を受験するにあたって、特別な資格の取得は基本的に必要ありません。
公務員試験では、あくまで従事する業務に必要な学力や能力、適性を有しているかどうかを判定するためのもので、学歴や資格の有無が合否に影響することはないといわれています。
ただ、公務員試験の難度は高く、幅広い学力と知識を求められます。
特に大学中退者が大卒程度の試験を受験する場合、大学以外の場所で勉強する手段を模索しなければなりません。
大学中退者が公務員をめざす際の勉強方法はいくつかありますが、それぞれ特徴やメリットの違いがあるので、自分に合った方法を見つけましょう。
ここでは大学中退者の公務員試験の勉強方法を紹介します。
独学
独学は公務員試験の参考書や問題集を購入するなどして、自力で勉強する方法です。
最近は公務員試験対策に役立つ動画やアプリなどもリリースされているため、オンラインと紙の両方を使って勉強する人もいます。
独学のメリットは、何と言ってもお金が掛からないことです。
購入するのは参考書や有料アプリ程度で済むため、なるべくコストを掛けずに勉強したい人に適した方法です。
ただし、分からないところは自力で解決する必要があるため、その他の方法に比べて勉強時間が長くなりやすい傾向にあります。
また、自分ひとりで勉強のモチベーションを維持するのは難しく、途中で挫折してしまう可能性もあります。
専門学校・予備校への通学
公務員試験対策向けの専門学校や予備校に通学して勉強する方法もあります。
一般的な大学とは異なり、公務員試験に特化した講座や授業を受けられる上、分からないことがあればすぐに講師に質問できるので、効率よく勉強できます。
また、公務員試験対策で押さえるべきポイントや、試験の傾向と対策に関するアドバイスを受けたりできるのも専門学校や予備校ならではの利点です。
さらに、同じように公務員をめざす人たちとともに講座や授業を受ければ、モチベーションの維持にもつながります。
その分、独学に比べると費用は掛かりますが、内容や効果を考えればコストパフォーマンスの高い方法とされています。
大学中退者でも公務員になれる!効率よく勉強したいなら専門学校への通学がおすすめ
公務員試験には基本的に学歴や資格などは不要なので、大学中退者であっても試験に合格すれば公務員になれます。
公務員は民間企業に比べて減給や解雇のリスクがほとんどない、福利厚生が充実している、社会的な地位を獲得しやすいメリットがあり、学歴で不利になる大学中退者でも安定した職を得られるところが大きな特徴です。
一方で、実績が給与に反映されにくい、採用のハードルが高いなどのデメリットも知っておきましょう。
特に公務員試験の難度は非常に高いので、大学中退者の場合は独学よりも、専門学校や予備校に通っての効率的な勉強をおすすめします。
仙台大原簿記情報公務員専門学校では、大卒程度の公務員をめざす国家公務員(大卒)・地方公務員(上級)コースを設けており、大学4年間で学ぶ専門科目を2年で学習し、より早い公務員試験の合格をめざせます。
また、大学中退者でも年齢によって高卒程度の公務員を短期間で合格をめざせるので、公務員をめざしたい人は、ぜひ仙台大原簿記情報公務員専門学校の公務員系をご検討ください。
受験できるかどうかについてはオープンキャンパス等でご相談可能です。
国家公務員(大卒)・地方公務員(上級)コースや高卒程度の公務員をめざす県庁市区町村職員コースに関しては、下記で詳しく紹介していますので、興味のある人はご覧ください。
▲大卒程度の公務員をめざすならこちら。
▲高卒程度の公務員をめざすならこちら。