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公務員

警察官の志望動機は何がポイント?差別化するためのコツやNG例とあわせて解説

警察官になるためには筆記試験や身体検査、面接試験など、さまざまな試験に合格する必要があります。例えば、警視庁(東京都)の警察官採用試験の場合、令和5年度の合格倍率(男性警察官、Ⅰ類)は6.0倍と低く、合格するには試験対策が必要です(※)。

 

特に志望者を悩ませているのが、担当の面接官から志望動機(警察官になろうとしたきっかけ)を質問される面接試験です。志望動機は2次試験の合否に大きく影響するため、しっかりと回答できるように準備しておきましょう。

 

本記事では、警察官をめざす受験生や社会人(既卒・第2新卒)向けに、警察官の志望動機を考えるポイントや、他の志望者との差別化を図るコツを紹介します。

 

※参考:警視庁「採用案内(警察官)| 採用情報 |令和6年度警視庁採用サイト」“合格倍率”

警察官の業務内容

警察官とは個人の生命、身体および財産の保護、犯罪の予防、鎮圧および捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持などの職務に従事する仕事です(※1)。警察官といっても、国の警察組織(警察庁)と地方の都道府県警察(東京都は警視庁)があり、また配属された部署によって業務内容が異なります。

 

例えば、警視庁の場合、以下のような職種があります。(※2)。

職種

業務内容

地域警察

交番勤務やパトカー乗務など

交通警察

交通違反の取締りや交通事故の捜査など

警備警察

天皇陛下や皇族、国内外の要人警護など

刑事警察

犯罪組織の捜査や盗犯捜査、鑑識など

組織犯罪対策

暴力団や外国人犯罪組織の検挙活動など

生活安全警察

特殊詐欺や侵入窃盗、痴漢に対する防犯対策や生活安全相談など

犯罪抑止対策 

市民の身近で起こる犯罪(特殊詐欺など)の捜査や情報発信など

人身安全関連事案総合対策

 ストーカーやDV、虐待事案の検挙活動や保護対策など

サイバーセキュリティ対策

サイバー攻撃対策の推進や情報発信など

公安警察

国際テロ組織や過激派に対するテロ対策など

総務

 警察組織の運営や会計業務、警察活動を伝える広報活動など

警務

 警察職員の採用や人事、給与の管理、育成など

 

警察官の面接試験では、志望動機とともに志望部署を聞かれる場合があるため、どのような職種があるのかを知っておきましょう。

 

※1参考:厚生労働省 職業情報提供サイト「警察官(都道府県警察)」“どんな仕事?”

※2参考:警視庁「職種紹介 | 令和6年度警視庁採用サイト」“警察官”

警察官の志望動機に必要なポイント

警察官になるためには、国家公務員試験(警察庁)か、都道府県ごとに行われる警察官採用試験のいずれかに合格する必要があります。国家公務員の警察官は地方公務員と比較して採用人数が少なく難易度が高いことが特徴で、地方公務員の警察官国家公務員と比較して採用数が多くなっています。一般的にイメージされる警察官は地方公務員の警察官でしょう。

 

警察官採用試験には、筆記試験が中心の1次試験と、面接試験や身体検査が行われる2次試験があり、両方への合格が必要になります。警察官採用試験の中でも、過去の受験生が入念に対策を行ってきた試験科目の1つが、2次試験における面接試験です。

 

面接試験で好印象を与えるためには、しっかりと志望動機(警察官になろうとしたきっかけ)を考えておく必要があります。ここでは、志望動機に必要なポイントや、志望動機を作成する上で意識したい考え方を解説します。

 

  • 警察官になりたい理由を伝える
  • 警察官としてやってみたい仕事を伝える
  • その都道府県で働きたい理由を伝える

1. 警察官になりたい理由を伝える

 

志望動機に必要なポイントの1つ目は、警察官になりたい理由をしっかりと伝えることです。

 

  • 警察官として犯罪を未然に防ぐ活動がしたい
  • 地域住民の暮らしや安全を守りたい
  • 同じ女性が安心して暮らせるまちづくりに貢献したい(女性の場合)

 

警察官をめざす動機といってもさまざまなものがありますが、ポイントは他の職種ではなく、なぜ警察官になりたいのかという視点から考えることです。人の役に立つ仕事がしたい、地域に貢献する仕事がしたいと漠然とした思いを語るだけでは、面接官に他の仕事でもよいのでは? という疑問を与えかねません。まずは警察官の仕事について理解し、深く関連した志望動機を考えることを意識しましょう。

2. 警察官としてやってみたい仕事を伝える

 

2つ目のポイントは、警察官としてやってみたい仕事を伝えることです。

 

前述のとおり、警察官といってもさまざまな部署があり、それぞれ担当する仕事や役割が違っています。面接の際に、警察官になった後の目標や展望について具体的に話せれば、この志望者はやる気がある、きちんと将来を考えているなどと面接官に熱意をアピールできます。

 

面接試験に合格するには、警察官の業務内容についての知識も必要です。さらに最近の情勢や時事問題にも触れながら、警察官としてやってみたい仕事について説明できると、より面接官に好印象を与えられます。

3. その都道府県で働きたい理由を伝える

 

3つ目のポイントは、その都道府県で働きたい理由を伝えることです。

 

各都道府県の警察官採用試験を受ける場合は、なぜその都道府県警を志望したのか、という質問をされる場合があります。特に出身地以外の採用試験を受ける人は、なぜ生まれ育った地域ではなく、他の地域の警察官になりたいのかという点を面接官にきちんと伝える必要があります。過去にその地域に訪れた経験がある、親戚や祖父母の家があるなど、実体験に基づいて志望動機を説明しましょう。

 

出身地で採用試験を受ける場合も、地元で警察官をしたい、地元に恩返しをしたいといった漠然とした思いを伝えるのでなく、具体的なエピソードを交えて話せば、より志望動機に説得力を持たせられます。

志望動機でアピールできる警察官に求められるスキル

警察官の面接試験は、志望者が警察官としてふさわしい能力やスキルを持った人か、を面接官が直接チェックするための試験でもあります。志望動機を考える際は、以下のような能力やスキルをアピールできれば、合格できる可能性が高まります。

 

  • 体力
  • 責任感
  • コミュニケーション能力

1. 体力

 

1つ目のスキルは体力です。配属先によって差はありますが、警察官は基本的に体力が求められる仕事です。

 

警察官になると、まずは地域警察官として交番や駐在所に配属されます。地域警察官は4交替制が基本のため、休日やプライベートがないわけではありませんが、夜勤や立番、見張り、パトロール、定期的な術科訓練など、他の職種と比べて体力が必要な場面が多くあります。

 

過去に体育会系の部活動をしていた、定期的に体づくりやトレーニングに打ち込んでいるなどの体力をアピールできるエピソードがあると、面接官によい印象を与えられるでしょう。

2. 責任感

 

2つ目のスキルは責任感です。

 

警察官は事件や事故を未然に防ぎ、地域住民の暮らしを守るという大切な責任を負っています。また警察官として仕事をしていく中で、犯罪の被害に遭い、心や体に傷を負った人と接する場面も出てきます。自分のためにというより、誰かのために働くのが公務員である警察官の役割です。

 

面接試験では自身の責任感や正義感を示すエピソードや、理想とする警察官像について、自分の言葉で話せるように準備しておきましょう。

3. コミュニケーション能力

 

3つ目のスキルはコミュニケーション能力です。

 

警察官になると、上司や同僚だけでなく、地域住民の人たちと接する機会が多くあります。特に試験合格後に配属される地域警察では、パトロールや巡回連絡、交番での相談対応、地理案内、遺失届・拾得物の受理など、地域の暮らしや安全を守るための仕事に従事します。

 

警察官として地域住民と信頼関係を築いていくには、円滑なコミュニケーション能力が欠かせません。面接試験の際も、コミュニケーション能力をアピールできるようなエピソードを話しましょう。

他の志望者との差別化を図るコツ

警察官の定員は都道府県ごとに決まっています。そのため、合格するには他の志望者と差別化し、印象に残るような志望動機を考えることが大切です。

 

ありきたりな志望動機を伝えても、担当の面接官の心は動かされません。以下の2つのポイントを意識し、警察官になりたいという意思や熱意が伝わるような志望動機を考えましょう。

 

  • 自分なりのアピールポイントを考える
  • 地域の警察官に話を聞いてみる

1. 自分なりのアピールポイントを考える

 

まずは自分なりのアピールポイントがないか考えてみましょう。

 

例えば、体力がある、責任感があるといったアピールポイントは、警察官になる上で大切な資質の1つですが、そのままでは他の志望者にも当てはまります。自分にしかない経験や、体力・責任感などの資質を裏付ける具体的なエピソードに基づいて話せば、他の志望者にはない、自分だけのアピールポイントにできます

 

また体力や責任感が求められる仕事は、警察官以外にも存在するため、なぜ警察官になりたいのかを補足する説明も必要です。警察官という仕事に対して、自分の資質をどのように活かせるのかという視点に立ち、自分なりのアピールポイントを考えましょう。

2. 地域の警察官に話を聞いてみる

 

もしアピールポイントに迷ったら、地域の警察署や交番、駐在所などを訪問し、警察官に話を聞いてみるのも1つの方法です。地域の警察官には、警察官採用試験を受けて間もない若手もいるため、なぜ警察官をめざしたかという志望動機はもちろん、採用試験についてのアドバイスを教えてくれる可能性もあります

 

また各都道府県警察のホームページには、先輩警察官へのインタビューが掲載されています。先輩の声に耳を傾けてみれば、自分なりのアピールポイントがはっきりと見えてくるかもしれません。

志望動機の書き方

志望動機を作成するときは、結論ファーストを意識しましょう。

 

面接試験で志望動機を聞かれた際に、まず具体的な経験やエピソードから話を始める人がいます。しかし、聞き手からすると結論がすぐに分からないため、話の核心となる部分がしっかりと伝わりません。

 

合格につながる志望動機を作成するポイントは、結論から先に書き始めることです。自分なりの経験やエピソードは、結論を補強するためのエビデンスとして盛り込みましょう。

 

例えば、警察官になりたい理由について話す場合は、警察官になりたいと思った経緯について話すのではなく、「私が警察官になりたいのは、~からです」と最初から本題を切り出しましょう。

志望動機の例文やNG例

ここでは、志望動機の作成で困っている人向けに、地元に対する思いや、自身のスポーツ経験をアピールするための例文を紹介します。よくあるNG例も掲載するので、志望動機を書く際に参考にしてください。

 

【地元に対する思いを語る志望動機】

私が警察官を志望する理由は、生まれ育った○○市で、お世話になった地域の人たちの安全・暮らしを守る仕事がしたいからです。私が住む○○市では、毎年の交通事故の発生件数が○○件もあり、高齢者や子どもをはじめ、さまざまな人が被害に遭っています。痛ましい事故を減らすため、交通警察として取締りや交通安全教育を行い、地域の人たちに貢献したいです。

 

【スポーツ経験をアピールする志望動機】

私が警察官を志望する理由は、高校で指導を受けた○○部の教師から、警察官を勧められたからです。警察官について調べていく中で、時には体を張って地域の人たちを守る警察官の仕事に関心を持ちました。犯罪被害を減らし、安全なまちづくりを実現するため、自分が○○年間培ってきた○○の経験を活かしたいです。

志望動機を書く際の注意点

志望動機を考える際に、よく陥りがちな失敗は2つあります。

 

  • 警察官への憧れだけでは志望動機として弱い
  • 公務員としての安定性は警察官を目指す理由にならない

 

面接試験はその人が警察官としてふさわしい能力やスキル、人となりを持っているかどうかを確認するためのものです。そのため、警察官は小さい頃の夢だった、ドラマや映画で警察官が活躍する姿に憧れたなど、警察官への憧れをアピールするだけでは、本当に警察官としてふさわしい人物なのかが面接官に伝わりません。

 

警察官への憧れをきっかけとして、体力作りのため、高校や大学でスポーツに打ち込んだ、警察官への関心から、学生時代に警備業務のアルバイトをしたなど、一歩踏み込んだ話をすれば、より好印象を与えられます。

 

また面接試験では、公務員としての安定性を志望動機にするのも避けましょう。公務員としての安定性は、警察官の魅力の1つではあるものの、他の公務員ではなく警察官を志望する理由にはなりません。

 

警察官ならではの役割や業務内容について調べた上で、どのような仕事がしたいのか、どのような場面で自分のスキルを活かしたいのかを、自分の言葉で説明できるように面接対策をしましょう。

警察官になるには、しっかりと時間を掛けて志望動機を考えることが大切

警察官になるためには警察官採用試験に向けて、しっかりとした試験対策が大切です。特に面接試験では、警察官としてふさわしい熱意や正義感、人となりを持っているかが確認されます。担当の面接官によい印象を与えるため、他の志望者と差別化できるような志望動機を考えましょう。

 

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【この記事を書いた人】

仙台大原簿記情報公務員専門学校

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