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公務員 進路選択

公務員試験に不合格になったら?その後に再挑戦するメリット・デメリットを解説

公務員試験は難易度も倍率も高く、合格は狭き門と言われています。公務員試験は年に1回しか実施されないため、もし不合格だった場合、その後に再受験するか、あるいは民間企業への就職にシフトするか、選択を迫られることになります。公務員試験の再挑戦にはメリットとデメリットがあるため、それぞれをよく理解した上で慎重に検討しましょう。

 

本記事では公務員試験に不合格だった場合の選択肢や、試験に落ちる人の割合と特徴、公務員試験を再び受けるメリット・デメリット、公務員試験に失敗しないための方法と対策を解説します。

公務員試験で不合格になった場合の選択肢

公務員試験の結果が不合格になってしまった場合、その後に取る選択肢は大きく分けて6つあります。

1. 日程が異なる地方自治体の試験を受ける

 

地方公務員試験は、自治体によって実施日程が分かれている場合があります。例えばA日程の試験に落ちても、B日程やC日程があれば、再受験が可能です。希望する自治体の試験日程が分かれていなかった場合でも、近隣の自治体の試験日程が別日であれば、併願して試験を受けられます。

 

ただ、お住まいのエリアによっては近隣の自治体と日程が全て重複していることもあります。その場合、遠方の自治体の試験にチャレンジするという方法もありますが、採用後は引っ越しなどを余儀なくされることもある点に注意が必要です。

2. 追加募集に申し込む

 

追加募集に申し込むのも一つの方法です。自治体によっては当初目標としていた採用人数に届かず、定員割れを起こしているところがあります。そのような自治体は再募集や追加募集を行うケースもあるため、翌年の公務員試験を待たずに再挑戦することが可能です。

 

ただ、再募集や追加募集は1回目の試験よりもさらに採用枠が少なくなっているため、合格へのハードルはより高くなります。また、希望する自治体で追加募集を行っておらず、他の自治体で試験を受ける場合、採用後はそのエリアへ引っ越すことになります。働く場所は問わず、どうしても今年度中に公務員になりたい人は追加募集への申し込みも検討してみるとよいでしょう。

3. 民間企業に就職する

 

公務員試験で不合格になった後、就活をして民間企業に就職する方法です。地方公務員試験の多くは毎年6~9月頃に実施されるため、もし不合格になった場合でも、その年度の就活には間に合います。

 

民間に就職した場合のメリットは、翌年から定収入を得られることです。公務員浪人や公務員留年のように無収入になる期間がないため、経済的に困るリスクが少なくなります。なお、民間企業で働きながら、翌年の公務員試験に臨むことも可能です。二足のわらじを履くことになるので大変ですが、定収入があるぶん、生活の心配をせずに公務員試験に臨めるところが大きな利点です。

 

とはいえ、働きながら公務員試験の勉強をするのは簡単なことではありません。専門学校に通うなど、独学以外の方法で勉強する工夫が必要となります。

4. 進学する

 

高校卒業後に大学、あるいは大学卒業後に大学院へ進学し、改めて公務員試験に挑戦する方法です。

 

進学すれば、在学中に公務員試験の勉強を行えるほか、今後の進路について再度熟考する時間を確保できます。いろいろ考えた末に、やはり民間企業に就職しようと決めた場合、公務員浪人をするケースとは違って新卒枠として就活できるところが利点です。

 

ただ、大学または大学院への進学には多額の費用が掛かるため、進学費用を工面できるかどうかが重要なポイントになります。

5. 公務員浪人する

 

公務員浪人とは、公務員試験に落ちた後に高校や大学、専門学校を卒業し、翌年の公務員試験を再び受けることです。通学も就職もしないため、再試験までの一年間を丸ごと公務員試験の勉強に費やせます。さらに、後述する公務員留年に比べると学費が発生しない分、コストを節約できるところが利点です。

 

ただ、独学で公務員試験に臨むには、モチベーションを高く保ちながら勉強を続ける必要があります。また学費は発生しないものの、収入を得るためにアルバイトやパートをしながら勉強している人も多く、勉強に費やす体力や時間が減ってしまうところも難点です。さらに、学校を卒業した後の未就労期間が長くなればなるほど、民間企業の就活時に不利になる傾向にある点にも注意が必要となります。

6. 公務員留年する

 

公務員留年とは、大学を留年した状態で再び公務員試験を受けることです。

 

公務員留年のメリットは、大学に公務員対策講座がある場合、通学しながら受講が可能であることと、翌年に卒業した場合、新卒扱いになることです。公務員浪人の場合、高校や大学を卒業してしまうため、仮に翌年の再試験に落ちて民間への就職にシフトした場合、新卒ではなく未経験者枠、あるいは第二新卒扱いになってしまいます。その点、公務員留年なら再試験後にもし不合格なり民間企業にシフトする場合、新卒扱いで就職活動(就活)ができます。

 

ただ、留年している間に一年間の学費が掛かることと、就活の際に留年がネックになったり、理由を尋ねられたりする点に注意が必要です。

 

 

公務員試験で不合格になる人の割合

公務員試験に合格するのは難しいとよくいわれますが、実際に不合格になる人はどのくらいいるのでしょうか。ここでは国家公務員と地方公務員それぞれの採用試験で不合格になる人の割合をまとめました。

国家公務員試験で不合格になる人の割合

 

人事院の発表によると、2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)では、申込者数2万4,240人のうち7,557人が合格しています。一方、専門職試験(大卒程度試験)の合格者は、申込者数2万893人のうち4,949人でした(※参考:人事院「2024年国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の合格者発表」)。 

 

一般職試験(大卒程度試験)の合格率が約31.2%、専門職試験(大卒程度試験)の合格率は約23.7%になります。

 

このように、職種によって申込者数および合格者数に違いはありますが、おおむね2~3割の人が合格し、残り7~8割の人が不合格になっているようです。

地方公務員試験で不合格になる人の割合

 

総務省の発表によると、令和4年度の地方公務員試験の受験者数は43万8,651人で、合格者数は8万4,804人でした(※)。

 

合格率を算出すると約19.3%で、全体の8割以上の人が地方公務員試験で不合格になっているのが実状です。地方公務員試験の受験者数は減少傾向にある一方、合格者数はなだらかに増加しています。しかし、倍率にすると約5.2倍と非常に高いため狭き門と言えるでしょう。

公務員試験で不合格になる人の特徴

前述のとおり、公務員試験に合格するのは非常に難しく、多くの人が不合格になってしまいます。ただ、公務員試験に失敗する人にはいくつかの共通点があります。合格率を高めるためには、これらの課題・問題を解決しておくことが大切です。

 

これから公務員試験に臨む人はもちろん、一度不合格になって再挑戦を検討している人も、以下の項目に当てはまる要素がないか確認してみましょう。

勉強不足

 

公務員試験の一次試験に落ちる人の多くは、勉強不足が原因とされています。

 

一次試験では基礎能力試験、専門試験(多肢選択式および記述式)、一般論文試験からなる筆記試験が行われますが、その試験範囲はかなり広めです。例えば国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)で出題されるのは、基礎能力試験にて文章理解や判断推理、数的推理、自然・人文・社会に関する時事などの問題です。その他、各試験区分に応じた専門知識(行政やデジタル・電気・電子、機械、土木など)に関する問題も出題されます。

 

特に大卒試験の場合、中学校から大学までに学ぶことを出題の範囲としているため、かなり広い知識が求められます。これらの分野・範囲を網羅するには相当な勉強が必要です。そのため、なかなか勉強する時間が取れない人や、効率の良い勉強法が分からない人は不合格になりやすい傾向にあります。

面接対策が十分にできていない

 

公務員試験は一次試験の合格者を対象に、人物試験と呼ばれる二次試験を実施します。人物試験はいわゆる面接試験です。具体的には、質問への受け答えや態度などをチェックし、受験者の人柄や対人的能力などを審査します。

 

せっかく一次試験に合格しても、面接試験で志望動機や自己PRを十分に行えなかったり、コミュニケーション能力が低いと判断されたりすると、公務員にふさわしくない人物とみなされ、不合格になってしまいます。特に面接試験で緊張しすぎていると、言葉がスムーズに出てこなかったり、要領を得ない応答をしてしまったりする原因となりかねません。そのため、事前に十分な面接対策を行っておくことが大切です。

第一印象が良くない

 

面接試験では、試験官との具体的なやり取りだけでなく、立ち居振る舞いや身だしなみなど基本的なマナーなど第一印象も重要です。例えば、入室時のノックの回数や、ドアを開くタイミング、椅子に座るまでの動作などを見て、だらしない印象だったり基本的な面接のマナーができていないと判断されるとマイナスになります。

 

面接の受け答えに関するシミュレーションはバッチリでも、見た目や態度で印象が良くないと不合格になる確率が高くなるので要注意です。

公務員試験に再挑戦する場合のメリット・デメリット

公務員試験に一度落ちた後、翌年以降に再び受験することにはメリットとデメリットの両面があります。不合格後に再挑戦するかどうか決める際は、メリットとデメリットの両方をチェックし、慎重に検討しましょう。

メリット1. 試験傾向をつかめる

 

一度公務員試験を受けると、出題される問題や面接試験で質問される内容を、ある程度把握できます。試験の傾向をつかんだ上で再度勉強すれば、一度目よりも有利な状況で試験に臨めます。

メリット2. 場慣れして本領発揮しやすくなる

 

公務員試験当日はどうしても緊張してしまい、本来の力を発揮できなくなることも少なくありません。その点、再試験であれば1回目よりも場慣れしているため、極度に緊張する心配がなく、持てる力を出しやすくなります。

デメリット1. 時間・お金が掛かる

 

公務員試験は原則として年に1回しか実施されないため、追加募集などのチャンスがない限り、再び受験できるのは翌年以降です。その間、公務員留年・浪人するか、進学や民間への就職を選んで勉強を続けるかは人によって異なりますが、いずれのケースも生活費や学費といったお金の問題が浮上するかもしれません。

 

中には民間に就職し、収入を得ながら公務員をめざす人もいます。その場合、働きながら公務員試験の勉強に勤しまなければならないため、心身への負担が大きくなるところがネックです。

デメリット2. 最終的に民間就職を選んだ場合、新卒枠で就活できない

 

公務員試験に再挑戦したものの、時間やお金の問題、あるいは受験の年齢制限により、最終的に公務員への道を諦めざるを得ない人も少なくありません。このような場合は、民間への就職にシフトするのが一般的でしょう。

 

すでに高校や大学を卒業している人は、新卒枠で就活ができないため、未経験者枠や第二新卒枠で就活することになります。しかし、これらの枠は新卒枠と比べると条件に制限があったり、採用枠が少なかったりするケースもあり、やや不利な条件での就活となるかもしれません。

公務員試験を失敗しないための方法や対策

公務員試験は複数回受けることも可能ですが、時間やコスト、その後の就活などでいくつかのデメリットがあります。そのため、1回目の試験で失敗しないための対策を講じ、できる限り不合格のリスクを下げることが重要です。

 

ここでは公務員試験に失敗しないために実践したい方法と対策を3つご紹介します。

1. 自分に合った職種を選ぶ

 

公務員試験は1つではなく、国家公務員、地方公務員に分かれ、国家公務員の中でも総合職、一般職、専門職、地方公務員なら初級、中級、上級のように分かれ、職種も多岐に渡ります。それぞれの業務内容が異なるのはもちろん、試験の日程や内容なども異なります。従って、自分に適した職種を選んだ上で、試験勉強を開始することが大切です。

2. 合格までのスケジュールを立てる

 

公務員試験の出題範囲はかなり広いので、学習スケジュールの組み立ては必須です。いつまでにどの分野・範囲の勉強を行うか、具体的な計画を立ててから勉強をスタートすると、出題範囲をまんべんなく学習できます。

 

なお、学習スケジュールは一次試験対策だけでなく、二次試験の面接対策を行う時間も確保しましょう。

3. 面接対策をしっかり行う

 

人物試験の実施時間は決して長くないので、限られた時間内でいかに自身をPRするかが重要なポイントになります。そのためには、あらかじめ質問の傾向を把握した上で、効果的な回答を用意し、淀みなく話せるようシミュレーションしておく必要があります。併せて、面接時のマナーや表情、所作の練習もしっかり行いましょう。

公務員試験で不合格になった後の選択肢は複数ある

公務員試験が不合格になったとしても、その後の選択肢は複数あります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分が希望するのはどの道か、慎重に検討しましょう。

 

公務員試験に再挑戦する場合、1回目と比べて試験傾向を把握できる、場慣れして本領発揮しやすくなるなどのメリットがあります。反面、時間やお金が掛かるため、なるべく失敗しないよう、入念に対策することが大切です。

 

仙台大原簿記情報公務員専門学校では、国家公務員や地方公務員の試験合格をめざすコースを用意しています。例えば、「国家公務員(大卒)・地方公務員(上級)コース」では、職種の選び方や学習スケジュールの作成といったサポートも実施しています。公務員試験の合格をめざして本気で勉強したいという人は、ぜひ仙台大原簿記情報公務員専門学校をご検討ください。

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【この記事を書いた人】

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