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再進学(学び直し) 進路選択

「大学中退」は「高卒」と同じ扱い?最終学歴と就職の関連性について解説

大学を中退すると、最終学歴は高卒(高校卒業)と同じ扱いになります。最終学歴が高卒の場合、就職活動にて採用担当者に「継続力がない」と判断されたり、そもそも大卒以上の求人に応募できなかったりといった事態になりがちです。しかし最終学歴が高卒の方でも、資格取得や公務員試験の合格など、努力次第でさまざまなキャリアを形成することが可能です。

 

本記事では、大学中退者の最終学歴や就職活動への影響、最終学歴が高卒の方に適した職種や職業、取得しておくと有利な資格、就職活動する際の注意点について解説します。

大学中退者の最終学歴はどうなる?

大学をやむを得ず中途退学した場合、最終学歴は「大学中退」にはならず「高卒(高校卒業)」の扱いになります。最終学歴とは、その人が最後に卒業した学校(最終卒業学校)を指す言葉であり、総務省の国勢調査などでも大学中退は学歴として認められておらず、中途退学した人は、その前の卒業学校を最終卒業学校とするとされているためです。

 

大学を中退した方は、基本的に高校既卒者として、就職活動を行っていくことになります。ただし平成24年に青少年雇用機会確保指針が定められ、学校を卒業して3年以内の方は、既卒ではなく新卒(第2新卒)として就職活動をすることが可能になりました。

 

そのため高校卒業から3年以内であれば、大学を中退した方も高校新卒者として、企業の新卒枠に応募できる可能性があります

最終学歴「高卒」「大卒」「専門学校卒」の就職面での優位性を比較

総務省は、最終学歴(最終卒業学校)を小学校、中学校、高校・旧中(旧制中学校)、短大・高専(専門学校)、大学、大学院の6つに分類しています。その中でも就職活動におけるボリュームゾーンとなっているのが、高卒・大卒・専門学校卒の3つです。

 

以下の表は、高卒・大卒・専門学校卒の就職面での優位性を比較したものです。

最終学歴

就職面での優位性

高卒

 初任給は最も低い

大卒や専門学校卒よりも2~3年早くキャリアをスタートできる

応募条件が大卒以上の求人も多い

大卒

 初任給は最も高い

幅広い知識や教養を身に付けられる

幹部候補生としての採用も多く、キャリアアップしやすい

専門学校卒

初任給は高卒と大卒の中間

仕事に関連したスキルを学べる

学んだ分野と関連した職種に就きやすい

高卒・大卒・専門学校卒ではっきりとした差が見られるのは、就職後の初任給です。

 

東京労働局の令和6年3月の調査によると、大卒の求人初任給の平均は21万6,600円であるのに対し、専門学校卒は20万2,400円、高卒は18万9,200円です。働き始めたばかりの頃は、高卒者の給与は大卒や専門学校卒の方と比べて低い傾向にあります。なお、求人初任給とは、都内の公共職業安定所が受理した求人票の賃金月額のことです。

 

ただし初任給は、選んだ職種によって異なります。例えば、管理的職業従事者(公務員や団体職員など)の求人初任給の平均は23万円で、大卒者全体の求人初任給を大きく上回る水準です。最終学歴が高卒だからといって、大卒や専門学校卒より給与水準が低くなるとは限りません。

最終学歴が「高卒」の場合、就職活動に与える影響は?

企業の採用担当者によっては、最終学歴が高卒の方に対して、あまり良い印象を持っていないケースもあります。そのため大学を中退すると、就職活動に以下のような悪影響が出る可能性があります。

 

  • 採用担当者に継続する力がないと判断される
  • 最終学歴が大卒以上の求人に応募できなくなる
  • 内定率(就職内定率)が全体として低い傾向にある

採用担当者に継続する力がないと判断される

 

採用担当者の中には、大学中退者に対し「忍耐力がない」「物事を最後までやり抜く力がない」というイメージを持つ人もいます。

 

採用活動において、企業が恐れるのは採用後の早期離職です。企業によっては、大学を中退した方は早期離職のリスクが高いとみなし、採用を控える可能性があります

最終学歴が大卒以上の求人に応募できなくなる

 

さまざまな理由から、そもそも求人の応募条件を大卒以上としている企業も珍しくありません。もし入社したい企業が見つかっても、応募条件が大卒以上の場合、最終学歴が高卒の方は採用される可能性が低くなります。

 

また大学を中退すると、新卒枠での採用が難しくなるというリスクもあります。高校を卒業してから3年以内に中退した場合、厚生労働省の指針上は既卒ではなく第2新卒として扱われますが、この既卒者の扱いは企業の努力義務に過ぎません

 

企業によっては、大学中退者は一律で既卒とみなし、新卒枠での応募が認められないケースもあります。

内定率(就職内定率)が全体として低い傾向にある

 

厚生労働省の統計を見ると、高卒者の内定率(就職内定率)は全体として低い傾向にあります。以下の表は、令和6年3月卒業予定の新卒者の内定率を学歴別にまとめたものです(※)。

最終学歴

内定率

高校

63.0%

大学

86.0%

短期大学

66.7%

大学等(大学、短大、高専、専門学校)

83.6%

※学校やハローワークからの職業紹介を受けた生徒が対象

 

最終学歴が高卒の場合、新卒者の内定率は63.0%(参考:厚生労働省「令和5年度高校・中学新卒者の就職内定状況より」)となり、大卒者の内定率を大きく下回ります

 

しかし大学を中退したからといって、就職面で大きく不利になるとは限りません。最終学歴が高卒の方でも、十分に就職できる可能性のある職種や職業が存在します。

 

最終学歴「高卒」の方がめざせる職種や職業

大学を中退した方がめざせる職種や職業には、例えば以下のようなものがあります。

 

  • 公務員
  • ITエンジニア
  • 営業職

公務員

 

公務員なら、最終学歴が高卒の方でも就職できます。

 

公務員とは、憲法により全体の奉仕者と規定され、国や地方行政など公のための仕事に従事する職業です。公務員には、国家公務員と地方公務員の2種類があり、どちらも高卒者向けの試験(高卒者試験)が用意されています。

 

特に各府省で働く国家公務員は、国家公務員採用一般職試験に合格すれば、大学を中退した方でもめざせます。国の政策・法令に携わりたい方や、国民生活を豊かにする仕事に従事したい方は、公務員試験にチャレンジしてみましょう。

ITエンジニア

 

またITエンジニアも高卒者におすすめの職種の一つです。

 

ITエンジニアは、初任給などに学歴以外の要素(保有資格やスキルなど)が反映されやすく、高卒の方でも十分な待遇を得られる可能性があります。

 

例えば経済産業省の調査によると、従業員のスキルレベルを図る基準として、IT企業の7割以上が保有資格を重視しています。それに対し、情報系分野の学歴でスキルレベルやスキル診断ツールの結果などを評価するIT企業の割合はおおよそ30%です。

大学を中退した方でも、専門学校やスクールなどでIT関連の資格を取得することで、就職活動において一定の評価を受けられる可能性があります。

営業職

 

営業職も他の職種に比べて、あまり学歴を重視していません。未経験者の採用が広く行われており、高卒者や大学中退者も活躍しています。また営業職は、固定給にインセンティブ(手当)を加えた歩合制が一般的なため、成果を上げれば上げるほど給与が増えるのも魅力の一つです。

 

営業職の中でも、大学を中退した方におすすめなのが不動産営業です。不動産営業は特別な経歴がなくてもなれる職種ですが、宅地建物取引士(宅建)やファイナンシャル・プランニング技能士、司法書士などの資格を保有していると、就職活動の際に有利になります。こうした資格には受験資格がないため、最終学歴が高卒の方も取得できます。

 

このように大学を中退した方が就職活動を成功させるポイントの一つは、仕事に役立つ資格を取得することです。次の項目では、企業の採用担当者にアピールできる国家資格や民間資格について詳しく解説していきます。

最終学歴「高卒」の方が取得しておくと有利な資格

大学を中退した方におすすめの資格には、例えば以下のようなものがあります。

 

  • 基本情報技術者
  • 宅地建物取引士
  • 旅行業務取扱管理者

 

いずれも国が定める国家資格ですが、高卒者や大学中退者でも受験資格を得られます

基本情報技術者

 

基本情報技術者は、IT業界で働きたい方におすすめの国家資格です。基本情報技術者の資格を取得するには、情報処理推進機構(IPA)が実施する基本情報技術者試験に合格する必要があります。

 

基本情報技術者試験は、ITを活用したサービスや製品を作るために求められる基本的な知識・技能に加えて、実践的なスキルを所有する技術者を対象とした試験で、ITエンジニアの登竜門とも呼ばれています

 

プログラマーやシステムエンジニア、サーバーエンジニア、Webデザイナーなどの職種に就きたい方は、専門学校やスクールなどで基本情報技術者の試験対策をしましょう。

宅地建物取引士

 

宅地建物取引士は、不動産会社やハウスメーカーなど、不動産業界で働きたい方におすすめの国家資格です。

 

重要事項の説明など、宅地建物取引業法で指定された業務を行うためには、不動産適正取引推進機構(RETIO)が実施する宅地建物取引士資格試験(宅建試験)に合格し、宅地建物取引士の資格を取得しなければなりません。

 

不動産営業をめざす場合は、宅地建物取引士の資格がなくてもなれます。しかし宅地建物取引士の資格を保有していると、就職面で有利になるだけでなく、資格手当が付く可能性もあります

 

旅行業務取扱管理者

 

旅行業務取扱管理者は、旅行代理店や航空会社、ホテルなど、旅行関係の仕事をしたい方におすすめの資格です。旅行業界における唯一の国家資格のため、資格を取得すると採用担当者にアピールできます。

 

旅行業務取扱管理者には、国内旅行業務取扱管理者や総合旅行業務取扱管理者、地域限旅行業務取扱管理者の3種類があり、それぞれ活躍の場が異なる点に注意しましょう。

旅行業務取扱管理者

対象

国内旅行業務取扱管理者

国内旅行に関する仕事をしたい方

総合旅行業務取扱管理者

国内・海外旅行の両方に関わりたい方

地域限定旅行業務取扱管理者

特定の地域における旅行業務がしたい方

最終学歴「高卒」の方が就職活動する際の注意点

最終学歴が高卒の方は、就職活動をする際に以下の2点に注意しましょう。

 

  • 大学中退の理由に関して嘘をつかない
  • 中退後はなるべく早く就職活動を始める

大学中退の理由に関して嘘をつかない

 

就職活動をしていると、企業の採用担当者に大学を中退した理由について尋ねられる場合があります。たとえ中退理由がネガティブなものであっても、採用担当者に嘘をつかないようにしましょう。

 

もし嘘だと発覚すれば、採用担当者に強い悪印象を与えかねません。採用面接などでは、質問に答えていく中で話のつじつまが合わなくなってしまうリスクがあるため、なるべく正直に中退理由を伝えてください。

中退後はなるべく早く就職活動を始め

 

また大学を中退したら、できるだけ早く就職活動を始めることが大切です。就職活動までの期間が空くと、履歴書に空白期間ができてしまい、採用担当者にマイナスの印象を与える可能性があります。

 

ただし企業の人材採用は、一般的に1月から3月にかけて活発化するため、その期間に就職活動をしても構いません。就職活動までの期間が空く場合は、専門学校やスクールなどに通って資格を取得すると、時間を有効活用できます。

大学中退しても資格取得や公務員合格などの道がある!

大学を中退すると、最終学歴が高卒になります。しかし高卒だからといって、就職面で大きく不利になるわけではありません。採用担当者にアピールできる国家資格の取得や、国家公務員試験を受験するなど、努力次第で自分らしいキャリアを築くことが可能です。

 

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【この記事を書いた人】

仙台大原簿記情報公務員専門学校

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